浪間新太
否認したり黙秘したりすると身柄拘束が長期に及ぶとされる「人質司法」の問題を考えるシンポジウムが6月30日、大阪市北区の龍谷大大阪梅田キャンパスであった。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)と、冤罪(えんざい)被害者を支援する弁護士や学者らの民間団体「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」(IPJ)の共催。
シンポでは、冤罪被害の当事者で、学校法人の土地取引を巡る業務上横領事件で大阪地検特捜部に逮捕・起訴された後、無罪となった大阪市の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍・元社長が参加。取り調べで無実を訴え続けたが、計248日間勾留された経験を語り、「人質司法をひとごとだと思っていたら、日本の刑事司法は変わらない」と訴えた。
HRWとIPJは、人質司法に関する実態調査などを通して改善策を示し、国に働きかけていくという。自白しなかった容疑者約30人らに聞き取りし、報告書を5月に公表したHRWの日本代表、土井香苗弁護士は「日本の刑事司法は国際基準から大きく離れている」と指摘。IPJ理事の渕野貴生・立命館大教授は「人質司法は虚偽の自白を生み、冤罪を引き起こす。人間の尊厳を侵害する重大な問題を解決しなくてはいけない」と強調した。(浪間新太)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル